Home > THEE 八苦


Blog

THEE 八苦

小原 一哲

IMG-4187.PNG
四苦八苦という言葉があります
生老病死の四苦
生きる苦しみ
老いる苦しみ
病の苦しみ
死ぬ苦しみ
この四苦に残り四苦
愛別離苦(愛する人と生き別れる苦)
怨憎会苦(うら憎む人と会う苦)
求不得苦(求めるものが得られない苦)
五陰盛苦(心身の働きが盛んである苦)
以上八苦で四苦八苦
主に仏教の言葉です

この言葉がぴったりな映画があります
今年公開された「さがす」です

主演は佐藤二朗さん
コミカルな演技で人気の方ですが
この映画ではコミカルさは一切ありません。

ストーリーは大阪の西成で生活する父子
父である佐藤二朗さんが万引きで捕まるところから始まります
ある日父が指名手配犯を町で見つけたから捕まえる
と言い残し
行方不明になります

そこから映画は時間を遡り
娘の苦しみ
父の苦しみ
指名手配殺人犯の苦しみを描きます

なぜ指名手配殺人犯を捕まえると言い出したのか
そこには人間の苦しみがありました。
生活保護
妻のALS
自殺幇助
生きていたくない人

コミカルな演技を一切しない佐藤二朗さん
ですが無言の演技を見て
やはり実力があるなと感じました
ALSを苦に首吊り自殺を図る妻
夫はそれを気づかぬふりでドアの隙間から眺め、失敗に終わって投げ出された時初めて駆け寄ります
言葉にしてないですがここには
介護疲れの自分
死が絶対的な救済の妻
このまま自殺が成功し解放を望む演技が無言で横たわります

自殺する3人に2人は失敗に終わります
そして高確率で後遺症
それも植物人間状態に陥るケースが多いです
意外とサクッと死ねないのですね

犯人はそんな死にたい人をSNSで探して殺す
いわゆる自殺幇助
ちょうど数年前の座間市の時間をベースに
自殺依頼を引き受けて殺す
しかしここには犯人の特異な性壁が潜んでおりました

犯人と死にたい女性のやり取りで心を抉った言葉があります
女性「私はいらない人間だから‥」
犯人「人間がいらないんだよ」
たったこの1ラリーで心を奪われました
そうか、いらないのは人間かと、

生きるということは苦しみのそして傷つきの連続です
人間の限りない苦しみと欲望、業
そして生まれた罪、生きていく罪がこの映画はストレートに表現しております
綺麗事で済まされない日本の現状と闇がここにはあります

もし
身近な人が死にたいと言ったらどうしますか?
私はおそらく引き止めることはしないでしょう
唯一の救済手段を奪い取る権利はありませんから
「生きていればいい事もあるよ」
ただの無責任な綺麗事です
救済措置を奪った自分にその人の人生の責任を背負い込めるのか?
そういう人は引き止めるべきだと思います

心が元気な時に見てください
結構引っ張られる素晴らしい映画です。

Go to Top