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おじさん!3

小森田 貴士

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なんとか仕事を終え、
家に帰る。

痛みはずっとなくならず、
苦しみに耐えながら、座薬をブチ込みながら、
長い長い夜を超え、
ロイスのお盆休み初日の月曜日を迎えた。

尿路結石との闘いは、それこそ石が出てしまえば
その瞬間にパタリと終わる。
だがそれがなかなか出ない。
そして出なければ永遠に終わらない。

そんな中迎えたお盆休み初日。

訳あって中3の長男と2人で過ごすことになっていたので
長男の希望で岐阜の淡水魚水族館「アクアトト岐阜」へ。

遠い。
とても遠い。

いつもはすぐに着く場所が、
とてつもなく遠い。

石と共に水族館を巡り、
石と共に古着屋に寄り、
石と共に家路につく。

座薬のおかげでなんとか普通に生活できているが、
薬効が切れればまたあの地獄が訪れる。
顔は青ざめ、声は裏返り、冷や汗にまみれる。

座薬タイムマネジメントが命である。

途中幾度か休憩を挟みつつ、
なんとか無事に家に着くと、安堵感からか
急激に痛みが増す。

まるで家だと偉そうな中学生。
地元帰ってくると調子に乗るヤンキーのようだ。
チッ

ああ、早く座薬を入れたい。
座薬を…

人生に於いてまさかここまで自分の肛門に
異物を放り込む事を熱望する日が来ようとは。
人生はなにが起こるかわからない。

そして19時。
前回の座薬投下から6時間が経過。

念願の座薬タイムである。

長男の胃袋もとっくにエンプティランプが点灯している。
一刻も早く座薬様を直腸へとお迎えし、
その神通力で我を天界へと導き給え…..

ズドン。

………..

おかしい。

効かない。

座薬様が正しくお入りにならなかった…?
いや、そんなはずはない。
きっちりはっきり、そこには違和感がある。

だが効かない。
お座薬様を信じる心が足りないのだろうか。
その神通力をわずかにでも疑う心を
見透かされていたのだろうか。

「お座薬様…お助けください。今一度…今一度恩赦を…….」

「ならぬ。」

痛みは次第に増してゆく。
ああ、もうダメだ。
諦めよう。
明日は病院に行こう。

長男の胃も完全に空になり、
病院に行く決心もついたので
重い重い体を引きずり起こし、
強引に夕食を摂りに出かけようと
トイレに寄った。

コロン。

出….

出出…….

出〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
石、出〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!

完全身体自由成〜〜〜〜!!!!

背中痛完全消去〜〜〜〜!!!!

出〜〜〜!!!!!!

完全にテンションは引き千切れ、
39歳の男はトイレを飛び出し長男に報告。
若干引きながらも、
のたうち回る父親の姿にもそろそろ見飽きたであろう長男も
一緒に喜んでくれた。

心配してくれた皆さんにもすぐにLINE。

「よかったね!」「おめでとう!」
「お疲れ様!」「心配したよ!」

ありがとう!ありがとう!!

みんながどこまで本気なのかは正直わからないし
知りたくもないが、
その労いの言葉、喜びの声を胸に、
ぶあちいステーキを胃袋に押し込み
止まらないニヤけ顔のままベッドに入った…….

そして眠りにつく直前、
ウキウキしながら眺めていたインターネットで
衝撃の一文を見つける。

「尿路結石が7年以内に再発する確率は、40%」

…?

あはは、いやいや。
なにこのガセネタ…笑 はは…
バッカらしい…他のサイトで調べよ。

なになに??

「尿路結石は再発率が高く、適切な食事指導や生活指導が行われなければ、」

ゴクリ..
お…行われなければ…….

「8

寝ようおやすみzzzzzzzzz

ぐすん。

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