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黒と白と赤

小原 一哲

ロキソニン飲んだんだ

初めて飲んだ、ありゃすごいね

あんだけ体が重かったのに

すごい軽くなったし

なんだかフワフワして

ハッピーな気持ちになった

このままどこまでも行けそうなくらいにさ

そのあとが地獄で

2日位寝込んで今もあんまり

感覚が戻らないまま

やっぱ休むのが1番だね

アパートの隣に友達夫婦が住んでいて

そのアパートは1960年くらいの古いやつ

黒人の郵便配達員が俺んとこに封筒持って来て

それは少しだけ空いていて

中からちらっと友達名義の通帳が見えて

隣にピンポンしたんだけど

友達の奥さんが出て来て

彼女とは結婚式で少し喋ったくらいだから

少し気まずいんだけど

事情を話して封筒を手渡したんだ

彼女の奥の部屋には何故か土間が続いていて

僕はそれが気になってあんま聞いてなかった

小雨になって来たしどっか出かけようと思って

駐輪場に行くんだけど

理想ばっか高いマッチョの新入社員の群れが

ぶん殴ってどかしてここから軽井沢まで

3時間か、なんて思ってたら

自宅の真っ暗な和室の中

襖続きの向こうには母が寝てて

ほんの少しの明かりで怒り出すから

暗闇でゴソゴソしてたら起きて

「電気つけていいよ」って言うから

電気をつけたら

そこにケイミーが立ってた

ケイミーに会うのは15年ぶりくらいで

完璧な白ギャルだったんだけど

なんかひどくやつれてて

髪もボサボサで目も虚だった

ケイミーに話かけたんだけど無視されて

暗い外に反射した窓から中の様子

ケイミーを見るんだけどやっぱり

ボーッと立ち尽くしていた

シャッターを閉めたら真っ暗なギターの部屋

ふと目覚めると真っ暗過ぎて出口がわからない

少し焦りながらノロノロと起きて

午前3時半

TVで延々とヘルシンキの街を

路面電車から撮影するのがやってて

クマ公園が出て来た

フィンランド語でクマってどういう意味だろう

そのまま動物のクマさんの事だった

いっときのその場しのぎで

なんだか大切な物を根こそぎ持ってかれた

甲高い鳴き声が脳に突き刺さったらもうダメだ

バイバイ

I LOVE YOU BABY!


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