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THEE 僕の神様が入れ替わった瞬間

小原 一哲

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僕には神様が2つある
つまり自分を律する、縋り付く、そして救ってくれるもの

ひとつは自分だ
死ぬまで変わらない絶対的な自分自身
最後まで不完全で完成することのないもの
もうひとつは
14歳の頃に現れた
およそ自分が生まれる前に生まれたその音は
テレビのCMから真っ赤な弾丸を発射して
その弾丸は
耳から入り
脳をぶち抜いて
所在不明の心を撃ち抜いた

思春期の不安定で
だけどどこよりも強いその時代の心は
長い間僕を悩ませ、強くし、光を差し伸べた

入れ替わったのは6年前だ
今度の神様は黒い散弾銃
轟音を轟かせ、猛烈なビートの塊は
14歳の頃に受けた傷もろとも僕をズタズタに引き裂いた
だけど不思議と嫌な気分じゃない
 
引き裂かれたことにも気づかず
バラバラになった心が
黒い散弾の様に鈍く光り始めたのはごく最近

黒い散弾の一つ一つに深い歴史
遡れば1970年代
その散弾の一つ一つの様に
僕の心は歴史を遡り始めた

再び
僕の心が爆音で鳴り始める
まるで14歳の頃みたいに歴史が僕を責め立てる
だけど不思議と嫌な気分じゃない
僕が存在する前は存在してない気がしてたけど、そんな事ない気もする

「文学は私を連れ去る、音楽は私を留める」
特に私にとって音楽は
まるで初恋をした相手をいつまでも忘れられない様に、あの頃から動かないまま
なんて幸せな!恵まれた人生!

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