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THEE 最盛期を過ぎ、存在し続ける事

小原 一哲

IMG-4419.jpg
先日渥美半島に行って参りました。
1番先端の旅館です。

私は旅館に行くと何度も何度も風呂に入ります
それこそ自分との戦い
最高一泊で13回です
綿密に予定を立て実行する
ある意味日常生活より忙しい

そんな事はさておき
この日は一つのルールを設けました
TVをつけない事
スマホを見ない事
及び情報から全てを遮断する事

情報社会の現代
知らず内にそれらに辟易して疲れてしまう
目を閉じても、耳を塞いでも
不快な景色と雑音が精神を蝕む社会

人工物は好きです
自然はそれほど
ですが時としてそれらは逆転する
不愉快な人工物を遮断し
自然に精神を預ける
とても快適な時間でした

耳をすませば
目を凝らせば
そんな五感を鋭敏にして
忘れていた感覚が目を覚まします
世界はこんなにも憎くて美しい

全てが手に入る現代
どんなに手に入れようが
全てはゴミで
何もいらない
何も欲しくはない

渥美半島から三重県の神島が見えます
三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台になった島
「潮騒」は三島由紀夫の中でも異質です
同性愛や若者のフラストレーションが多い作品の中で
こんなも美しい文章で描かれた純愛
そんな島が見えて
昔の文豪のように
全てを遮断し心を鎮めておりました

さて
写真は旅館に程近い道の駅
「伊良湖クリスタルポルト」
フェリーの発着場も兼ねており
外観はおよそ50年前の風情を感じさせます

なぜこの写真かと言うと
忘れ去られた時代の遺物にときめいたから
道の駅は既に閉館しており
フェリーも車社会の現代に置いてあまり使われない
しかしありし日の全盛期には
きっと多くの人が訪れ
笑い声がみち
別れの涙声が漂い
活気があった事でしょう

そんな港も今や閑散とし
過去栄えていた名残が物悲しさを助長させる
時代の遺物

塵芥一つ残らず消え去るより
修復不能なまま存在し続ける
これほど辛い事はありません

この時代の遺物に
98%の痛みと
2%の栄光を感じたので
この写真を転載致しました

そこらにある時代の遺物
特に観光地には多いはず
さて皆さんはそれを見て何を感じますか?

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