ぎゃる!
この世の中に、これほどまでに魅力的で、
不可解なガチャがあっただろうか。
その名も、
「ギャルが折った折り鶴」
これはネタではない。
たしかに実在する商品なのだ。
繰り返す。
これはネタではない。
たしかに実在する商品なのだ。
売っているのを見たことはないが、
できれば是非とも購入したい。
コンプリートするまで回したい。
一瞬でゴミになるのは火を見るより明らかではあるが。
ガチャガチャとは総じてそういうものである。
さて、新商品の開発に際し、
そこにはまず「ターゲット層」というものが設定される。
全年齢全性別をねらうより、
ある一定の層にガツンと響くような
ニッチな商品を作る事で、
その層の購買欲をより強く煽り、
商品は購入され、メーカーは利益を得る。
そしてその「ターゲット層」は
こういったポップを見れば大体想像がつくものなのだ。
ならばこの商品のターゲット層は一体どこの層なのか。
では改めてこの商品のポップ見てみよう。
「ギャルが折った折り鶴」という商品名が
目立つように赤字に印刷され、
何やらきらきらしたエフェクトで
そのギャル感を盛り立てている。
この時点で僕は、この商品、
ギャル好きなおじさんがターゲットなのでは?
と仮説を立ててみた。
ガチャガチャが好きなおじさんは割と多い気がする。
そして、このポップに写っている「 ギャル」も、
全盛期の浜崎あゆみを彷彿とさせるメイクをしている。
40前後のおじさんの青春時代のタイミングにもピタリだ。
だがよく見てみると、最上部にはこう記されている。
「※ギャルが実際に折った折り紙を忠実に再現した商品です。
全て手折りのため、個体差があります。」
…..。
そう、これはギャルが折った折り鶴などではなく、ギャルが折った折り鶴を参考に、
どこの誰かもわからない「誰か」が折った折り鶴だったのだ。
もちろんそれをバイトのみちょぱやゆきぽよが折ってるかもしれない。
だがそれと同くらいの確率で、
パートのおばちゃんが折ったのかもしれないし、
海外の工場で全く意図を理解してない方に
折られたのかもしれない。
なんなら場合によっては、これを購入するおじさんよりも、
さらに年齢が上のおじさんが折ったのかもしれない。
だが、世界というのはファンタジーの上に成り立っている。
愛や勇気、希望や夢、自由、そして未来。
全ては形のないもの。つまりはファンタジーなのだ。
これを買うおじさんは、ギャルが折り鶴を折る場面を想像し、
その時間を楽しむのだ。
それが一瞬でただのゴミになると知りながら。
これで謎は解けた。
この商品を欲しがるのは、40前後、
浜崎あゆみ世代のギャル好きの
おじさんというわけである。
そしてこの商品を欲しがってしまった僕もまた、
そのおじさんの中の一人というわけなのだ。
それにしても、左から2番目。
さーたんはどうしたんだ一体。
本当に真面目にやったのかさーたん。
お前には折り鶴がこう見えてるかさーたん。
一回眼科に行って、
あの気球の写真見てきた方がいいぞさーたん。
さーたん。
頼むぜさーたん。