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THEE ルームの意味が部屋だけじゃないとしたら

小原 一哲

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私の好きな小説「ルームメイト」
作者は今邑 彩

97年発表の単なるミステリーとは一味違うミステリー小説

主人公の女の子は大学新入生
上京して部屋探し中に同じ境遇の1人の女性と出会いルームシェアを始めます
ある日を境にルームメイトがガラリと変わります
そこで初めて知る同居人の謎
読み進めると回収される伏線
そして初めて分かる「ルームメイト」のもう一つの意味

一緒に住んでいる人の素性を知っていますか?
もしかしたら近くにいる人の事、分かっているようで全然知らないなんて事もあります。
そして
この人おかしいと思っても本当におかしいのはどちらでしょうか?
普通と狂気の境界線なんてあやふやです
見ていたはずの狂気の中に実は自分が立っていたとしたら‥

精神科医の有名な話があります
「相手によってコロコロ態度を変えるのは正常、むしろ誰に対しても態度が変わらない人を精神科医の視点から見て異常」
我々は常に色々な自分を演じております
家族に向ける顔、友達に向ける顔、職場に向ける顔
そして自分1人きりの時の顔
全部違う自分だけど全部同じ自分
どの顔が本当の自分でしょうか

ただの文字の波に揉まれ、頭と心がグラグラ揺さぶられる小説
現実と妄想の境目まで連れて行ってくれる作品です
ちなみに
読み方が1番多い漢字が「生」
読み方が1番少ない漢字が「死」
物事にはたくさんの意味が隠されているのですね
まるで1人の人間の様
「ルーム」の意味が「人間」だとしたら
写真の表紙に描かれているちょっとした違和感に気づくはずです
そして読み終わる頃にはこの表紙の意味も

この小説は少し変わっていてラストが自分で選べるのです
2つ、2個、そして2人?
気になる方は是非読んでみて下さい。

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