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THEE ぼくのおとうさん

小原 一哲

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なんだか春だし

お父さんになったから

お父さんの事を書いてみようと思う

別に私のお父さんは生きてる

全然生きてる

ただ33年生きてきて

今だにつかみどころのない変な人だ

お父さんの事は嫌いじゃないし

いつまで経っても少年の心を持っている

連絡先は知らないし

あんまり2人でベラベラ喋る事もない

2人ともお酒が飲めないから

昔夜の11時半に叩き起こされて

「めしを食いに行くぞ」とか

11歳の誕生日に初めてプレゼントくれたりとか

中学卒業旅行で10000円くれたりとか

タイミングがよくわからない

普段は自分優先だし

無理矢理キャッチボール

野球中継に強制的に変えたりとか

野球に興味ないのは

ここからきてると思う

何時間も車にぶち込まれて海を見せられる

寸胴鍋いっぱいの物凄く不味いカレーを

毎週毎週作ったりしてた

おかげで席替えとか遠足とか体調崩してた

20歳になるまでカレーは嫌いだった

ブラックリストに入ってて

クレジットカード作って俺にくれとか言ったり

初めて行った漫喫で

私の名前を使って登録してあったり

黄金の七福神 お布施100万円

宇宙と一体化してどーのこーの

藤岡弘、よりアクの強そうなおっさんの

表紙のカタログが玄関にあったり

青サバみたいな色のスニーカー履いてて

ダブルの合皮の革ジャンと

変なバッヂのついたハンチングを後ろかぶり

教祖よりクセの強いおっさん

ある日急に植毛してきて

自然な感じならいいんだけど

なんか韓国のアイドルみたいに

厚めの前髪の上にニット帽被ったりして

笑っちゃいけないドッキリかと思ったよ

優しいところもあって

飲めない酒を飲んで終電で多治見まで行った時

深夜にも関わらず迎えに来てくれた

お礼にコーラを買ってあげた

車が好きで急にベンツとワーゲン買ってきて

だけど運転は荒くない

怒ったとこも見た事ない

きっと子供と言えども

自分以外には全く興味ない人間かも

普通だとかまともだとか

そんなものはありましない幻だから

他と比べたりはしない

そんなお父さんの血が流れている私

私は私なりに息子に接する

どんなお父さんもきっと素晴らしい

死ぬ寸前に子供がありがとうとか言ってくれたら

こんなステキな事はないね

ただ

パパ友とかは

絶対作りたくないな

ほんとに嫌

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